前回のメルマガでご紹介した、お向かいさんの少年が作った《シルクのハギレ布ぞうり》。
夏休みの自由研究で、一生懸命に編んでくれた作品です。
今日は「なぜ彼が布ぞうりを編むことになったのか」をお話しします。
すでにご承知の通りピーポッドは50オーバーの主婦が運営している会社。
その主婦を構成している一部分に「もったいない」という精神があります。
キッチンシンクの下を開けると、蓄積されたビニール袋や紙袋。
商品が納品されたときに縛られている紐。
なんだか捨てられない。いつか使えるのでは…。
ハギレも然り。最後まで無駄なく使いたい。もったいない。

そんな「なんだか捨てられない」ものの中に、上質な麻100%の紐がありました。
以前、近江の麻のタオルを販売していた時があり、その縁取りに利用していたバイアスカットした紐。
何メートルなのか何十メートルなのか、もう使われることのない麻100%の上質な紐が、たんすの奥にずーっと眠っている。
箱を開けては「ああ、これ何かに利用できないかねーーいよいよ捨てるかなー」なんて言いながらまた蓋を閉めるの繰り返し。
そんなある日「これ、布ぞうりにしたらいいんじゃないの?」という意見が。
麻100%の布ぞうり!上質な麻のぞうり、最高じゃん!
と盛り上がり、早速ぞうりを編んでくれる人を探し始めました。
そこで検索に引っかかったのが、NPOかたくりという福祉作業所。
思いついたらすぐ行動、猪突猛進のいのしし年スタッフKは、NPOかたくりが所在する武蔵村山というところがここからどれくらい遠いかも調べずに、電動自転車を漕いですぐに訪問しました。麻100%の紐をもって。

担当してくれた《NPOかたくり》のYさん。
施設内を案内してくれました。ぞうりがたくさん!
今回のこの「もったいない企画」の話も丁寧に聞いてくれました。
そして「やってみましょう!」という一言に安堵し、大島紬の布ぞうりをひとつ購入、また自転車を漕いで事務所に帰ったのでした。(ちなみに武蔵村山までは片道2時間かかりました)
そうして出来上がった布ぞうり。
今回のこの私たちのぞうりを編んでくれたのは、半身不随の男性。
なんと片手で編む。1足編むのに1日かかる。丁寧に、丁寧に…。
足を入れると麻の気持ちいい履き心地。
芯に1cmの太い紐を使っているので、厚みがありしっかりしている。
ちゃんと土踏まずの部分もある!鼻緒は作業所の人が絶妙な組み合わせで選んでくれた。かわいい!

そんなぞうりを店頭で販売していたところ、やってきたお向かいの少年。
ぞうりを見るなりすっかり気に入ってしまったようで
「僕はこのSサイズというのがピッタリだ!」と、もう買わんばかりの勢い。
「なんでお母さんだけ買い物するの?僕もこのぞうりが欲しい!!」と、猛アピールするもお母さんになだめられてお店を出ました。
そうして彼は「買えないのなら自分で作ればいいじゃん!」と、シルクのハギレの最後の最後を使ってシルク100%のぞうりを編むことになったのです。

買ってあげていたらこの少年の夏の経験はなかった。
廃棄する布についても学ぶことはなかった。
そんなちょっとしたストーリーのあるこの布ぞうり。
夏が終わろうとしているけれど、ピーポッドの五本指靴下に履いても気持ちいい。

ネットでも販売を始めました。
ご興味あればぜひショップページのぞいてみてください。
世界にひとつだけ1点もののオリジナルです。
どんな柄が届くのかは、荷物を開けてみてのお楽しみ、ということで☆
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。