ある年の夏、実家に帰省した時に、久しぶりに麻の敷布が敷かれた布団で寝た。
あーーー!これこれ!この気持ちよさ!
普段はベッド生活の私にとって、懐かしい夏のしつらえの寝床。
ひんやりと冷たい触感を味わいたくて、ムダに寝返りばかりしたくなる。
布団から飛び出した足に触れる床には、これまたひんやりと心地よい籐のむしろ。
子どもの頃、梅雨が明ける頃になると、仕事に忙しい母は更に忙しそうであった。
居間の障子は外されて御簾がかけられ、
絨毯は籐筵(とむしろ)に、
6人の家族の布団は麻の敷布に、衣替え。
他にもそれぞれの季節ごとにルーティン作業がいっぱいあって、
そんなに忙しいならやめればいいのに…!と思ったものだけど、
そしてその殆どを、今は主婦となった私はやっていないけれど、
ふと思い出しては、一つずつ暮らしに取り入れてみて、驚く。
あーなるほどね…。
その多くはとても面倒に見える。
でも、実は合理的でもあり、季節を楽しむ心地良さをもたらしてくれることを実感する。
麻のシーツを初めて一枚買った日、
幼い子どもらが、こぞってその布団に寝たがった。
キャハキャハと嬉しそうに、ただ転がって遊んでいる。
どうにかどかせて、自分と末っ子だけ寝たけれど、
気付くと夜中にみんな寄ってきて、ぎゅうぎゅうで汗だくに…
子どもの肌感覚って正直なんだな、と思った。
そして、買い足した。
子どもも大きくなり、広々と誰にもジャマされずに眠れる今となっては、懐かしい光景です。