~「長く使える」以上の喜びと誇りを~
Pea Podが繕いものサービス【TSUKUROI部】を立ち上げた理由
天然素材を使った衣類には、相反する課題があると常々感じています。
肌ざわりを取るか、耐久性を取るか。
もちろん、そのバランスとバリューを見極め商品化するのが、メーカーの腕の見せどころだと言えるでしょう。
たとえばPea Podのシルクウールレギンス。
柔らかくチクチクしない肌ざわりを最優先して、内側には、他のインナー類と同じ上質シルク糸を使いつつ、おもて側には「オプティモウール※」を使用しています。(※全豪州の生産量のうちわずか0.2%といわれる希少な高品質ウール)
長時間履いていても続く心地よさは、このシルクとウールだからこそ。
だから、たとえ耐久性では勝るとしても、あるいは価格を下げられるとしても、これら素材の品質を下げるという選択はしません。
なぜなら、たくさんモノが溢れる世の中で、それでも新たに作り出す価値がある、と思うものだけを作っていきたいから。
とはいえ、毎日の生活スタイルや使用頻度によっては、この柔らかさゆえのほころびや引っかけが、思ったより早く生じる場合があります。
それらは大抵ごく一部分であり、他の部分は何ともないこともしばしばです。
(この穴を早く塞いだ方が良いのでは…)と思いつつ、(う~ん、でも今日も脱ぎたくない!)…そうしているうちにまた穴が拡がってしまった、というお話を耳にすることもあります。
また、個性的なデザインながら、熱烈なファンも多いルームウェア。
こちらは本体生地と襟やウォーマー部分には異なる素材を使用していますが、いずれも、現場との試行錯誤の末に生まれた渾身の生地です。
この究極の組み合わせによる妙が、極上のリラックス感をもたらします。
程よい厚みと蒸れない寝心地を実現するのは、肌面シルク・おもて面コットンの本体生地。
襟元や手首足首など肌感覚が敏感なところには、とにかく肌ざわりの良いシルク95%のリブ生地を配しました。ですが、シルクコットンの本体生地の丈夫さゆえに、化繊混率を最小限に留めたシルクリブ生地の経年変化が目立ってくるようです。もちろん、就寝中の自力整体(寝返り)はじめ、布団との擦れや、活動中の頻繁な腕まくりなどに日々対応しているわけですから、このシルクリブ生地の消耗も相応と考えられるのですけれど。
たとえばオールシルクのインナーや腹巻ならば、着用頻度に応じた全体的な消耗は、致し方ないと思えることでしょう。
けれども、コットン混紡の本体生地は何ともないだけに、襟やウェスト部分だけがユルユルになってきたときの残念感は否めません。
オールコットンのトレーナーやスウェットパンツと違うとはいえ…。
そんな「品質・耐久性のバランスとバリュー」について、長年考え続けてきました。
それでもやはり、このデザイン、この素材、この組み合わせは譲れない、と確信を強める中、
「それならば、何が出来るのか!?」と。
そこで考えたのが、ほころびが生じたレギンスに「ツギあて」をして繕ったり、ルームウェアの襟やウェスト腹巻を付け替えるサービスです。
アウトドア衣類のメーカーさんが行っている取り組みをご存知の方も多いことでしょう。
家電や家具のみならず、暮らしの中の身の回り品もできれば修理しながら、
大切に長く使いたい、と考えている方は少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、インナーウェアを提供するメーカーにとって、“販売して終わる”ではなく“その先を考える”ことは、多くの準備、発想の転換、様々なリスクを負う覚悟を必要とします。
それでも、環境負荷の大きいアパレル産業だからこそ、小さな取り組みも、大きな意義があると考えました。
肌に近いところで身に着けるものですから、お直しに出すのを躊躇われる方もいらっしゃるかと思います。また、直してもその後の耐用年数を考えると、時には買い替えた方が良い場合もあるかも知れません。あるいは、すでにご自身で色々と工夫して、リユースされている方もいらっしゃるでしょう。
けれども、そんなもこんなも含めて、たかが1枚のインナーをじっくり観察したり、向き合うという行為は、ご自身が暮らしの中で何を大切にするか、に向き合う時間にもなり得ると思います。
それぞれの方が「モノと自分との関係」の中で、愛おしさや誇らしさを感じられること。
私たちは、そのために出来ることを提供していきたいと思います。
それは、形あるものを世の中に送り出している、メーカーの責任でもあると考えています。
繕うとは…
裏返したり引っ張ったりしてよく観察し、どうすれば少しでも長持ちするかな?などと、生活の中での活かされ方に思いを巡らしながら、一針一針を刺していくこと。
これこそ機械にはできない、人にしかできない、文字通りの手仕事です。
一見、前時代的とも思えるこの小さないとなみが、現代の環境負荷を少しでも減らし、心の豊かさに繋がることを願っています。